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Vol.18-2(2023年11月)

【日立総研創立50周年記念】世界のこれまでの50年と2050年に向けた展望

Foreword

巻頭言

これまでの50年と2050年に向けた展望

取締役会長
鈴木 教洋

日立総合計画研究所(以下、日立総研)は、1973年の創設以来、50周年を迎えることができました。日立製作所歴代幹部のご支援、日立総研の先輩方のご尽力に、この場を借りて厚く御礼を申し上げます。今回、50周年を記念して、「世界のこれまでの50年と2050年に向けた展望」と題した特集号を発刊いたしました。日立グループでは、地球を守りながら、一人一人が快適で活躍できる社会を、グリーン、デジタル、イノベーシ・・・

 鈴木教洋氏

成長の限界はやはり来るのか

取締役社長
溝口 健一郎

未来予測は当たらない。予測のベースとなるデータが不十分であったり、予測しようとする事象が複雑系であったりするからだが、加えて、システムの中に居る者が自らの所属するシステムを予測するという存在論的障壁が存在するためでもある。ローマ・クラブが1972年に提唱した「成長の限界」説もぴたりとは当たらなかった。ローマ・クラブ自身は、提示した未来の姿は「予測」ではないと強調したが、多くの人々が予測と受け止め、・・・

溝口健一郎氏

HRI Report

特集レポート

機関誌「日立総研」から振り返る50年

所長代理 山本 薫之
主管研究長 松本 洋人

日立総研の機関誌「日立総研」は、その創立の年の1973年9月、日立グループ企業向けに限定した研究論文誌として刊行をスタートした。その後の2006年5月には、広く日立グループ外に向けた機関誌として装いを改め、今日まで刊行を続けて来た。日立総研創立50周年に当たり、これまで機関誌「日立総研」で取り扱ってきた研究テーマの推移を概観することにより、日立総研が見てきたこの50年間の世界の動きを振り返って・・・

山本薫之氏と松本洋氏

Interview

対談

新しい価値を創造する自己変革組織の在り方

野中 郁次郎 氏

日立総合計画研究所の創立50周年記念として野中郁次郎 一橋大学名誉教授をお迎えし、新しい価値を創造する自己変革組織の在り方について伺いました。野中先生はベストセラー『失敗の本質』や、組織的イノベーションのプロセスを理論化した『知識創造企業(邦題)』をはじめ、数多くの名著を記した経営学の大家です。野中先生が提唱されてきた「SECIモデル」をはじめとした経営理論と、日立の経営ビジョンや事業戦略を踏まえな・・・

野中郁次郎氏と鈴木教洋氏

日立グループの将来と日立総研の役割

川村 氏

日立総合計画研究所の創立50周年を記念し、日立製作所 川村髢シ誉会長を迎え、日立総研の果たすべき役割について伺います。日立総研は「経済、社会、経営、技術等の各分野を統合したソフト・サイエンスの確立」を目的に、当時日立製作所会長であった駒井健一郎による発案で1973年に創立されました。その設立趣意書には「日立グループの長期的かつ基本課題とともに地球社会の課題解決に応えよ」「日立グループの人的結束、横断・・・

川村骼≠ニ鈴木教洋氏

Contributions

寄稿

50年にわたるアジア太平洋の国際政治と未来への展望:日本政府と日本企業の役割

戦略国際問題研究所(CSIS)所長兼CEO
ジョン・J・ハムレ

歴史は事象、行動、反応の連鎖から成り立っている。歴史上の重要な出来事は、連続的な力によって引き起こされてきた。しかし、人間には未来を形作る力も備わっている。人間やその築いた組織は、過去の影響を受けることはあっても、同時に未来を変える力も持っている。過去75年間のアジア太平洋の国際政治には、大きな影響を及ぼした出来事が二つある。第一の出来事は第2次世界大戦であり、その恐ろしさと結果は広く認識されてい・・・

ジョン・J・ハムレ氏

世界経済の50年の歩みと未来に向けた展望

一橋大学 名誉教授
野口 悠紀雄

日本経済の停滞と国際的地位の低下が問題とされている。ただし、これらは急に起こったものではない。20年、30年の時間にわたって続いている現象だ。したがって、これに対処するには、まず過去を振り返り、どこに問題があったのかを明らかにする必要がある。本稿は、1970年代からの世界と日本の歩みを振り返り、中国の工業化やIT革命が大きな転機であったことを指摘する。そして日本の対応がどこで誤っていたかを明らかに・・・

野口悠紀雄氏

これまでの50年間の働き方と2050年に向けた展望

HSM アドバイザリー創設者
ロンドン・ビジネススクール教授
リンダ・グラットン

仕事は私たちの生活の中心であり、すべての労働者は充実したワーキングライフを送りたいと望んでいる。それは、幸せで、元気で、健康でいられるワーキングライフである。豊かで安心して暮らすために必要な資産を築く機会が得られる場でもある。また、そのような金銭的報酬だけでなく、家族や人間関係、目標など人生の他の重要な要素とのバランスを取ることができる働き方を望む。働き方の過去と未来を考えるとき、個人の行動様式と・・・

リンダ・グラットン氏

GDPからGGWへ:豊かさの指標の人類史的転換

慶應義塾大学 教授
前野 隆司

ウェルビーイング(幸せ、健康、良い状態)という言葉が近年日本で頻繁に使われるようになった。私は、ウェルビーイングの潮流とは、単なる短期的な流行ではなく、人類史における農業革命・産業革命に匹敵する激変であると考えている。このため、産業革命以来の資本主義経済の主要な指標であるGDPから、ウェルビーイング革命後の指標がGGWへと転換することの必然性と可能性について論じる。米国の生態学者ディーヴェイが仮説・・・

前野隆司氏

21世紀に求められるリーダーシップ

株式会社日立製作所 社外取締役
Global Energy Alliance for People and Planet 会長
ラヴィ・ヴェンカテイサン

リーダーシップは現代の中心的な課題である。人類史上、私たちが抱える課題や機会の大きさに対して、リーダーシップ能力がこれほど不足していることは、これまでほとんどなかった。私たちは気候変動をはじめとする深刻な課題に直面しており、困難な問題に対処できる解決策やリソースを数多く持っている。ところが問題は解決されず、深刻化するばかりである。その主な理由は、優れたリーダーシップの欠如であり、企業や組織、地域社・・・

ラヴィ・ヴェンカテイサン氏

2023年の時間旅行

元 株式会社日立総合計画研究所 取締役社長
白井 均

国の政策においても、企業経営においても将来の予測は不可欠である。予測はシンクタンクの主要な役割の一つでもある。一方でタイムマシンでも発明されない限り、未来の出来事を完全に予測することはできない。残念ながら2023年に至るもタイムマシンは未開発なので、仮想タイムマシンに乗って時間旅行に出掛けることにしよう。1985年公開の映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場するタイムマシンは、米国のデロリア・・・

白井 均氏

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