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MBO

    所属部署 経営システムグループ
    氏名:佐藤奈保子

    MBOとは

    MBOとはManagement Buy-Outの略称で、企業の合併・買収(M&A)の手法の一つです。具体的には、現在の経営者が資金を出資し、事業の継続を前提として対象会社の株式を取得することをいい、「経営陣による企業買収」と呼ばれます。例えば、子会社の経営者が、親会社から株式を買い取って独立する場合や、オーナーでない経営者がオーナー経営者から経営権を取得する場合などがあります。最近はMBOによる非公開化、つまり公開企業の経営陣が、市場で株式を取得して対象企業を非公開にする例が話題となっています。
    一般的に、経営陣が買収資金の全額を用意することは困難なため、大抵は投資ファンドからの出資や金融機関からの借り入れも合わせて行うことになります。この場合、経営陣は投資ファンドと協力しながら、企業経営を進めていくことになります。

    公開企業でMBOが注目される背景

    MBOは90年代後半から徐々に増え始め、2006年には80件、買収金額は6,875億円と急速に拡大しています(レコフ調べ)。ワールド、ポッカコーポレーション、すかいらーく、サンスターなど、ここ数年の大型案件は公開企業が非公開化とする手段としてのMBOです。これらの企業の目的は、短期的な利益を求める株主に惑わされることなく、中長期的な視野に立った戦略的な意思決定ができる、意思決定のスピードが高まる、敵対的買収の究極の防衛策になる、といわれています。
    株式持ち合いの解消と「物言う株主」の増加、四半期決算の導入や内部統制強化の流れ、敵対的買収の危険性など株式市場を取り巻く環境が変化するなかで、株式を公開するメリットよりもデメリットが大きいと考えた企業が、非公開化の手段としてMBOを用いているといえます。
    また、忘れてならないのは、それを可能にした金融市場の整備や投資ファンドの存在、メザニンなど金融商品の多様化です。これらによって、従来では難しかった公開企業でのMBOが可能となっています。

    公開か、非公開か

    これまで「公開」は経営者共通の目標といえる時代が続きました。その背景としては、株式を公開することに伴い、社会的信用が得られる、資金調達手段が増える、人材確保が容易になる、といったメリットが大きかったと考えられます。
    しかし、これまで見てきたように、あえて非公開化を目指す企業も現れつつあります。上記にあげた企業は、知名度やブランド力がある、成熟した市場を顧客にしている、などの共通点が見られます。少子高齢化など経営環境の変化を背景として、これまで成長・拡大一辺倒であった企業経営も転換点に差し掛かっているといえるのでしょう。

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