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つづきはWebで

    所属部署 マネジメント・イノベーショングループ
    氏名:林寛之

    「つづきはWebで」とは

    「つづきはWebで」とは、商品の詳しい情報をウェブサイトで紹介していることを消費者に知らせるため、企業がテレビコマーシャルの最後に流すフレーズのことです。このようなテレビコマーシャルをウェブ連動型CMといい、テレビコマーシャルから商品を宣伝するウェブサイトへと消費者を誘導するのが狙いです。一部の企業で使われていたのが昨年半ばに急速に広まり、今ではテレビコマーシャルの定型句と言ってもよいほど頻繁に使われるようになりました。

    なぜ「つづきはWebで」なのか

    このフレーズがよく使われる背景として、メディアに対する消費者と企業の変化が挙げられます。ある調査によると、インターネットを利用しながらテレビを見る視聴者は全体の7割にのぼります。インターネット利用者がいる世帯の比率も8割を超えており、消費者をテレビコマーシャルからウェブサイトに誘導するのはそれほど難しいことではありません。
    広告をつくる企業にとっても、ウェブサイトでの商品宣伝には、時間に制限がないというテレビコマーシャルに優るメリットがあります。一般的なテレビコマーシャルの放映時間は15秒であり、この限られた時間内で消費者に商品と企業を認知してもらわなければなりません。企業名と商品名を伝えるのに5秒近くかかるのですから、商品自体のアピールに使える時間は10秒と限定的です。一方、このような制約はウェブサイトにはありません。消費者に商品の良さを深く知ってもらおうとすれば、企業がウェブサイトを活用した商品宣伝に力を入れるのは自然な流れなのです。
    さらに、ウェブサイトの情報に対する消費者の態度が、ウェブ連動型CMの拡大に大きく作用していると考えられます。今の消費者は商品選択に必要な情報の多くをウェブサイトから入手しています。そのため、企業にとっても、ウェブサイトから商品情報を提供するメリットは大きいのです。その一つが、消費者の様々なニーズに合うよう、商品のアピールポイントを数多く紹介できることです。特に家電品や自動車など、多様な機能を競い合う商品では、商品の特長を消費者に対して丁寧に説明しないと、せっかくの販売機会を逸することにもなりかねません。例えば、A社の製品に固有のものとしてテレビコマーシャルで宣伝されていた機能が、実はB社の製品にも付いていることがウェブサイトの情報から初めて分かったということが起きるのです。

    「はじめからWebで」の時代へ

    「つづきはWebで」の潮流は今後どうなるのでしょうか。「放送と通信の融合」というキーワードを新聞などで見かける昨今、恐らくテレビとウェブも将来的には融合していくのではないかと予想しています。パソコンを起動したら、自分が興味のある分野の広告が自動的に流れたり、インターネットから商品のテレビコマーシャルとウェブサイトを見ることができる。そうなれば、消費者はテレビコマーシャルを見てからウェブサイトを訪れることはせず、メディアの垣根を越えて「はじめからWebで」知りたい商品の情報を見にいくようになるかもしれません。企業は従来のメディアの活用方法を再考し、ウェブを含めた新たな取り組みを実行していくことが広告宣伝戦略の要になっていくと思います。

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